Shin Takamatsu Architect and Associates Co.,Ltd. 株式会社高松伸建築設計事務所

天津スタジアム 水天宮

天津市がスタジアムの建設を決定し、国際指名設計競技を実施することになり、構造設計家・川口衛と建築家・高松伸による共同設計企業体がエントリーを求められた 。プログラムには、大きくは収容人員数(10万人)及び国際競技対応可能であることの二点のみが明記されており、前代未聞の簡潔さであった。つまるところ参加者は、他でもない「理想の競技場」という命題に、いきなり直面することになったという次第である。従って、なにを隠そうチーム全員が、まるで学生の設計課題の如く大いにデザインの過程を楽しんだと言えよう。提案はプログラムにも比して、これ以上無いほど簡潔である。フィールドを囲む構築部はふたつのリング状のゾーンによって構成されている。内側のゾーンは競技部門、外側のゾーンはアメニティ部門に充てられており、そのふたつを、これまたリング状の緑地帯が分けている。当然のことながら、この潤沢な緑による環状の領域が、スタジアム全体の環境調整のメカニズムを司ることになる。大屋根を支える構造もまた簡明である。「やじろべえストラクチャー」と名付けた一支点構造のバランス維持能力が、広大な屋根面を軽やかに支持している。全面ガラス張のゆるやかな大屋根の曲面は、外側のリングを流れ落ちる瀑布が描く軌跡へと連続する。まるで宇宙からの一滴の雫の如きこのスタジアムを、我々は「水天宮」と名付けて戦いに挑んだ。

所在地
規模
敷地面積
建築面積
延床面積
計画年
: 中国 天津市
: 地上4階
: 445,000m2
: 100,000m2
: 135,000m2
: 2001