イスラエルのアシュドッド市がコンサートホールの建設を計画し、我々に構想案の提示を求めた。席数は840席と、コンサートホールとしては、それほどの規模ではない。ただし主として現代音楽専用ホールとして使用するため、市はそれにふさわしいシンボリックな意匠を求めた。ある意味フューチャリスティックな我々の提案は、その要請に極めてダイレクトに応答したものだ。具体的には、楽屋、バックヤード、及び主舞台を地下に沈め、地上部にはホワイエ、及び客席を収容する楕円球と、キューブ状のプロセニアムのみが突出するという冷徹なまでに合理的なアイデアである。輝くメタルで包まれたこの対比的な造形を、スーパーストラクチャーによって支持されたメカニカルな傾斜屋根が覆うことになる。苛烈な陽光を浴びて、イスラエルの荒野に燦然と輝く、まるで未知の甲殻類の如きこの建築は、おそらく「現代」という時制をも超越するシンボリズムを確立するに相違ない。
アシュドッド・カルチュラルホール
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