それぞれのプロジェクトに異なる建築家を起用し、東京都内でユニークな開発を展開し続けているディベロッパーが、閑静な住宅地の一画にオフィスビルの建設を計画し、その設計者として我々を指名した。建ぺい率と建築物の高さに関する厳しい法的制約及びディベロッパ-によって立案されたプログラムを分析した結果として、我々が考案したアイデアは、建築のほとんどを地下に建設するというものであった。地上には、地中深くに外光を導く蝶の羽根に似た数基の天窓だけが露出することになる。この天窓群を含む地上の意匠は、徹底して造園法に則している。いわば光の庭園である。ほとんど土木工事に近い地下20mの堀削工事に要する膨大な費用や、地下水対策にかかわらず、クライアントが我々の提案に首肯した理由のひとつが、この庭園の意匠にあったものと確信している。
アーステクチャー・サブワン
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