EH製菓・江久庵

堺市街の歴史的かつ由緒ある遺構が点在する地域の一画に計画された、製造工房及び茶房を擁するカステラ専門店である。隣接する神社や天皇陵が織り成すところのいわば「重畳する風景」に、いわば「新たなる風景」としての建築を重ねることによって、如何にしてさらなる歴史を醸成することが可能となるかを不断に自らに問いかけつつ設計を呻吟し続けた。幾重にも重なる屋根の意匠や、エントランスから工房へ、そして茶房と庭園を経由して御陵へと連綿と継起的に連なる葛折りの空間構成などの全てはその絶えざる問いかけの末に生まれたものである。