Shin Takamatsu Architect & Associates

国の管轄である独立行政法人・科学技術振興機構(JST)が、京都大学工学部桂キャンパスに隣接する敷地に研究成果活用のための施設を建設することを決定し、公募型プロポーザル設計競技を実施した結果、我々を含む2社からなる設計共同体を設計者として特定した。施設の主要目的は、京都大学工学部における研究成果をシーズとし、さらなる集中的な研究の推進を通じてその実用化・事業化を支援することにある。端的に言うならば、施設用途は汎用性の高い研究施設であり、従って、プログラムはこの種の施設の例に洩れず、研究室群、会議・セミナー室群、リフレッシュスペース及び管理諸室によって構成されている。実施設計案は、プロポーザル設計競技提出案とほとんど寸分違わない。即ち施設を大きく二分し、その西側に研究室群を集中するとともに、東側に3層吹抜のアトリウムを確保した上で、その内部に階段状にリフレッシュスペース及びセミナー群を積層するというものである。即ち、閉鎖ゾーンと開放及半開放ゾーンを明確に峻別したダイアグラムをそっくりそのまま空間化した、言わば図式的構成であると言ってよい。長時間に渡り極度の集中を要する研究生活にとっては、この素朴なまでの相補的構成こそふさわしいと考えたからである。

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