台中市の中心部にもかかわらず、意外と静謐な環境に恵まれた住宅地の一画に建設された中規模の集合住宅である。クライアントとはこれまで幾度となく協働しており、その開発戦略は常に概ね変わるところはない。つまるところ、都市的文脈とは無縁の稀有なデザインの開発である。当然のことながらこのプロジェクトも例外ではない。敷地を初めて訪れた際の、レトロな街灯に煙る驟雨の記憶も相俟って、「光の雨」なるデザインコンセプトを手掛かりにアイコニックな意匠を創出した。コールテン鋼に似た風合のイタリア産大判タイルを縦長に裁断し、ファサードにランダムに配置するディティールがひたすらイコンを強化する。重い雨が軽々と降り続ける。
台中利民段集合住宅
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