Shin Takamatsu Architect & Associates

 

「ルミエール」が急速な事業の拡大をもたらすに至り、たちまちにして教室の不足をもたらすことになった。本施設は、その不足を解消すべく、隣地に建設用地を取得した上で計画されたものである。敷地形状、法的条件を踏まえた上で、許される限りの床面積を確保すること以外に、クライアントからの要請は一切無かったと言っても過言ではない。なによりも「ルミエール」の成功が、我々に対する信頼を支えたに違いない。とはいえ、「ルミエール」の場合と異なり、敷地は住宅地の一画で、かつ、前面道路の幅員は極めて狭い。極言するならば、かかる所与の条件が直接的に解を導いたと言ってよい。それも構造的解法を。即ちプレキャストコンクリート造(PC造)である。あらかじめ工場で製作した部材を現場に搬入し、これを現地で組み立てる。いわばコンクリート部材による木造在来構法と考えてよい。これによって与件の負荷を一気に解決する。竣工の折、クライアントは、この建築をいみじくも「コンクリートの和風建築」と称した。ちなみに、中央の吹抜は厳しい制約の中で捻出した唯一の空間的ゆとりである。設計者は、このスペースをファッションショーに使用することを提案している。

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