Shin Takamatsu Architect & Associates

計画地は、ジョージア共和国の首都トビリシの街を一望に見下ろす郊外の高台に位置している。国際設計競技を経て、この地に建設される地元出身の富豪のビジネス拠点の設計者として指名されることになった。名称こそ「ビジネスセンター」であるものの、プログラムはオフィス関係の諸室はもとより、ゲストルーム、ホール、エクササイズルーム、室内プール、ギャラリー、メディカルルームなど、単なるビジネスのための用途を超えた様々な機能の集積である。出生地に、建築という実体を通して自らの威信の実現を望むクライアントの期待に応えるべく、多機能の複合体を一挙に統括する意匠を開発するに至った。外壁の全て覆い尽くす直径20cmのアルミパイプによるファサードと、これによる沈黙の威容をことさらに強化するかの如き光塔群による城塞の如き造形である。様々な企業の本社ビルや、いくつかの象徴的な公共建築を設計する過程で試行錯誤を重ね研鑽を積んできた手法を個人の野心に応えて駆使する結果となった。後に当の富豪が首相に任命された際、首相官邸としての使命を果たす光栄に浴することになった。

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