京都市街の北端に、にわかに商業ビルが林立する通りが出現し、およそ京都らしからぬ名で呼ばれ始めた。「北山通り」である。長さわずかに800m、通りの南側の、ほぼ全面を植物園が占めているゆえか、その風情はストリートというよりもひなびた村落に近く、およそ京都的なる都市文脈とは無縁である。「SYNTAX」はその村落における四棟目となる実作である。前3作と同様、ここでも文脈不在という出自のみ徹底して拘泥することによって、それ自身が逆説的に自律的な都市を標榜するかの如き建築の擁立を目論んだ。千年の都の北に、新たなる都市の兆しが屹立する。「SYNTAX」即ち「統辞法」という命名はそのような自負を背負っている。
SYNTAX
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