宝塚市新市民ホール設計プロポーザル

「宝塚歌劇」発祥の地である宝塚市は、市民の間でも音楽に関する活動がつとに盛んである。その宝塚市が、満を持してクラシック音楽専用ホールの建設を決定し、7名の建築家による設計競技を実施した結果、我々を設計者として指名した。最優秀案として特定されるに至った我々の提案は、そのエッセンスのほとんどが敷地条件から導かれたものだ。その幾つかに触れるとすれば、例えば3層のバルコニー席を有するオペラハウスに限りなく近い馬蹄形のホール型式は、あまりにも狭量な敷地がもたらした結果であり、プロセニアムを思わせる外形の全容は、長辺が河岸に接する敷地と対岸との関係を考慮した都市景観的な決断によるものである。また、例えば幹線道路と河岸を繋ぐ大階段は、敷地の著しい高低差を逆手に取った結果であると言って良い。ともあれ、我々の提案における主題は一貫して「都市のホール」というある意味極めて抽象的なものであり、上記以外の解法もすべからくこれに徹底的に準じて考案されたものである。おそらく、審査にあたっては、この抽象的な命題と物理的な解法との整合性が評価を受けたに違いない