台北市北の名峰陽明山で運営を続けている温泉リゾートホテルの増築である。新たに計45室の客室と、既存のホテルには備わっていないスパやプールの整備を求められた。と同時に、日本の建築様式ではないものの「和」の気配を彷彿とさせる意匠の案出というなかなかの難題を提示された。機能的要請はさておき、試行錯誤の末、難問には結果的に安直過ぎるほどの単純な解で応答した。「格子」である。ただしその「格子」を過剰かつ執拗に駆使した。これによって当の「和」をも超える気配の醸成が可能になったのではないかとの感慨がある。
天籟温泉
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