21世紀の前半に南海トラフ大地震の発生が予測されており、県はこのような巨大地震を含むあらゆる災害から県民の生命と財産を守るべく、災害発生時の緊急対応の拠点として新たな施設の建設を決定した。設計者は指名設計競技によって選ばれることになり、我々のチームが金的を射とめた。我々の案が評価されるに至った理由のひとつが、その特殊な耐震構造のアイデアにある。具体的には柱頭免震とラチス架構のゲージコンストラクションを組み合わせたものであり、これが直接的にファサードの意匠を決定している。その形姿がこの県の象徴であるところの古城の石垣に酷似したものになったのはうれしい偶然であった。ともあれ、他にも災害対策車両のスムースなアクセスを可能にするピロティ、本線と予備線による2系統受電、自家発電設備、1階冠水時における2階以上の階へのエレベーターサービスの維持等、建築計画、設備計画全般に渡る技術的対策を徹底して講じている。
和歌山県庁南別館
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