Shin Takamatsu Architect & Associates

高松伸の出生の地、日本海に面する仁摩町の唯一の名物と言えば「鳴き砂の浜」である。あまりにも砂の粒子が細かいため、踏むと鈍い音を奏でる。過疎化の一途を辿る町の復興を計るため、町長は、この砂を用いた世界一の一年計砂時計を製作し、これを主なる展示物とする「サンドミュージアム」の建設を発案した。しかる後、高松をその設計者として指名した。その時点で既に町長は直感的に当の建築はピラミッドをモチーフとしてデザインされるべきであるとの確信を抱いており、これが高松のアイデアを大きく方向づけることになった。最終的な高松の提案は、設計着手を機にあらためてエジプトを訪れた際に目にしたピラミッドの風景に基づいている。即ち大小のピラミッドが呼応する景観の圧倒的な存在感を建築としてシンボライズすることを目論んだものである。高松は後にこれを「群形」と名付けている。

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