Shin Takamatsu Architect & Associates

西

老朽化した本堂の建替えである。耐火建築物にすること及び、建築の占有面積を既存の本堂より一廻り小振りなものに抑えること以外に具体的な与件は一切ない。前者の要請にはコンクリート造を採択すればこと足りるものの、後者の要請はその実、根本的な問題を孕んでいる。即ち空間容量を縮小しつつも従来通りの宗派の典儀の形式を損なうことのない空間構成を発見しなければならないという問題である。特に儀式が展開することになるところの軸方向の距離が物理的に削減されることが難題であった。我々はこれを、のちに「重層」と名付けることになった手法によって解決することとした。即ち機能上求められるゾーンを 互いに重ね合わせつつ奥行方向に圧縮するというものである。これによって宗教空間に不可欠であるところの空間的深度や濃度もまた獲得されることになった。

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