「木造都市」を夢見ている。都市の全てとはいわないまでも、大規模な都市建造物、少なくとも公共建築物のすべてを木造で普請することが可能だとしたら、それはどのような「都市風景」をかたち作ることになるか。私はそのような「風景」を敢えて「木造都市」と呼び、その像を呼び覚ますことを試みた。もとより「風景」である限り、それは象徴である。十全なる実体ではない。しかるに、実体を欠いた象徴であればこそ、ある意味それは苛烈な能力を有している。即ち、象徴は意味の生成を挑発し、意味を呼び寄せ、しかる後、時に実体をもはるかに凌ぐ強度の意味の圏域を形成するという能力である。言うまでもなく、人はその圏域に耽溺することによってこそ社会や世界の像に触れ、かつそれを共有することが可能となる。像に則して秩序や制度、そして他でもない建築が編成され造形されるのはその時だ。苛酷である。苛酷ではあるが、かかるダイナミズムこそが「象徴の力」とでも言うべきものであり、この「WOOD ARCHITECTURE PROJECT」はその力学圏に放たれたいわば風景としてのひとつの建築である。
大規模高層木造建築構想
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