Shin Takamatsu Architect & Associates

慢性的な少子化という極めて厳しい時代状況に直面し、教育を提供する学校法人の全てが、自らの存続を賭けた対応策の模索を迫られている。そんな中、京都市内の名門私立大学が、新たに小中高一貫教育を立案し、これに則して六年制の小学校を建設することを決定した。しかる後、指名設計競技を実施し、結果的に我々が設計者として指名されることになった。我々の提案は至極単純明快である。敷地条件下における建設可能な最大校舎容量を設定し、その中央に中庭を穿ち、中庭の周囲にフリースペースと各種教室を円環状に配置するというものである。ある意味システマティックなこの空間構成を、我々は「ワンルームスクール」と名付けた。これによって視認性による子供達の安全確保が可能となる。と同時に、なによりも一貫教育に不可欠な一体感の醸成が可能となる。いわばこの空間的能力が、キリスト教を理念として掲げ、「ひとつ屋根の下」をモットーとする学校法人代表者の琴線を震わせたに相違いない。

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