Shin Takamatsu Architect & Associates

日本最古の温泉地に、新たに泉源が湧出したことを機に、改めて町の福祉の向上と観光の推進を図るために計画された公共施設である。今や全国各地に誕生しつつあるクアハウス的な施設ではなく、いわば、「太古の湯」ともいうべき初源的な浴場空間が求められた。敷地は宍道湖に注ぐ玉湯川沿いに栄える旅館街のほぼ中央にあり、路面から奥へ16mの高低差を有するという立地特性を有している。この地勢に乗じ、斜面に長大な壁を切り込ませ、その壁が天空に直径41mの半球を持ち上げるという、これ以上無いほど素朴な構成を開発した。壁は、その背後に多目的ホールやギャラリーを有し、天球は湯を湛えている。古代から伝わるこの町の工芸「玉」にふさわしい造形であると考えている。

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