Shin Takamatsu Architect & Associates

浄土真宗大谷派の本山東本願寺が老朽化した参拝接待所の改築を計画し、これを機に規模を拡充することを決定した。とはいえ、本寺は江戸期と明治期の大火を経て整備を重ねた結果、伽藍群が圧倒的に厳格な構成を達成しており、新たな堂閣がこれに介在する余地など皆無と言うしかない。従ってある意味当然のことながら、導入部の空間をわずかに地上に残し、それ以外の全てを地中に埋設するという設計案を導くことになった。既存の大寝殿に面する白州はこれまでどおり皇室の典儀のために保持されることになり、「日輪」「月輪」と命名された採光面から洩れる光が夜毎これを荘厳する。仏閣の空間に、我々は言わばひとつの風景を意匠したことになる。と同時に、期せずして歴史都市に現代建築を建設する際の回答のひとつを提示することになったと言えよう。

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